名探偵 夢水清志郎事件ノート

(えぬえけい・はやみねかおる/講談社KCデラックス・1〜13巻)

ハイテンションモードへ

Story

岩崎亜衣はエイプリルフールの日、家のとなりにある「幽霊屋敷」と呼ばれていた古い洋館に新たな住人がやって来たのを知る。
その住人が掲げた表札「名探偵 夢水清志郎」に興味を引かれ、さっそく隣家を訪ねる亜衣。
現れた黒ずくめ、長身の男・夢水は、元・論理学教授にして、名探偵となぞり、茫洋とした雰囲気とは裏腹に、亜衣の持つ秘密を、あっさりと解いて見せた。

Impression

「なかよし」の別冊付録という形で連載されている、子ども向けのミステリー作品がコミックス化されました。
子ども向けとはいえ、原作は「メフィスト」誌などでも活躍しているはやみねかおるさんであり、大人でも満足出来るロジックを備えていて、十分に楽しむことが出来ます。
特に目につくのはそのボリューム。
次から次へと謎が芽生え、事件は進むにつれて新しい顔を見せていくので、全くダレることなく読み進めることが出来ますが、それでいてストーリーが重くならず、子ども向け作品としての読みやすさをキープしており、このバランスは特筆出来ると思います。はやみねさんのキャラクターメイクと、リズム感にあふれたえぬえさんの画面作りが、実に良く相乗効果を発揮していますね。
謎解きは前述したとおり、ロジックに重点を置いた鮮やかなものですが、 年少向けの作品ということで、登場人物の心理の説明にもページが割かれており、ていねいに読者を納得させてくれます。これが読後の爽やかさに繋がっている点も見逃せないポイントですね。
謎解きの確かさと、ミステリを読む楽しさ、年少向け作品らしい明るさをハイレベルで並立させた、読みやすい好作品です。

2005.2