会社の妹属性な後輩と、秘密の友達になった話

(及川輝新・Enuni/電撃文庫)

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Story

社畜歴5年め、感情を表に出さず他人に関心を持たない主人公・種村悠は、自宅のひとり酒でストレスを発散するのが趣味。
だがある日、初めてのひとり呑みを決行しようとして訪れた新宿で、妹属性の後輩、営業部の芹沢春がナンパされて困っているのを目撃する。
思わず春を助けた悠はその場の流れで行きつけの居酒屋に春を連れていくが、そこで目撃する。妹属性の仮面をかなぐり捨てて次々とトマトサワーのジョッキを空け、激しく酔っぱらいながら会社の愚痴を吐き散らかす春の姿を。
そしてふたりきりの呑み会の後、春は悠に言うのだった。
「先輩、私と飲み友達になってくれませんか?」

Impression

 勤め先の、マスコット的存在の後輩女子に、実は他人に見せない秘密が、知られたら驚くようなギャップがあったらといういわゆるギャップ萌えを狙ったタイプの作品。その秘密が、実は魔法少女だったとか実は異世界からやってきたとかのライトノベルの定番的なものではなく、見た目に似合わず大酒のみだったというあたりに、地に足の着いた大人のファンタジー、という趣を感じます。
 そのテーマからストーリーが逸れることがなく、会社帰りに、自宅で、お祭りでと常にふたりがお酒を楽しむシーンをひたすら重ねることによって、ふたりの関係が確実に深まっていく様を描いているところは好感が持てますし、飲酒のシチュエーションを常に楽しげに、そして出てくるお酒や料理をおいしそうにバラエティ豊かに描写することで、日常ものでありながら常に浮き立つような雰囲気が醸し出されている点も見逃せません。
 要約すると「どこかで見たようなシーンをテンポよくつなぎ合わせただけのラブコメ」と言い切ることもできる作品ですが、日常系のラブコメですからむしろそれが正解。その分かりやすさ、先の読みやすさがサラリーマンの憧れをページに落とし込んだような、気楽な本作品に似合っています。 

2026.5


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