長崎殺人事件

(内田康夫/光文社文庫)

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Story

本業はしがないルポライターだが、名探偵として数々の難事件を鮮やかに解決して来た浅見光彦は、警察庁刑事局長である兄・陽一郎の意を受け、空路・長崎へ飛び、グラバー園で起きた2件の殺人事件の捜査を行っていた。
そこに、「殺人容疑で逮捕された父親を救って欲しい」と、市内のカステラ屋の娘・松波春香から新たな依頼が入る。
西海の街を舞台に、3件の殺人事件が綾なすストーリーを、浅見が鮮やかに解きほぐす。

Impression

辰巳琢郎さんや水谷豊さん、榎木孝明さんが主役を演じるテレビドラマでおなじみの「浅見光彦シリーズ」の一冊です。
リリカルな文体で旅情たっぷりに描かれる同シリーズですが、特にこの「長崎−」は舞台がほとんど長崎県内に絞られていることもあり、その趣が一層濃くなっています。
作者自身が「最後まで犯人がわからなかった」(←オイ)というだけあって、犯人探しの過程は、舞台を動かしながらぐいぐいと読者を引っ張る感じで秀逸。
最後の解決のシーンも鮮やかで、カタルシスと少しのやる瀬無さを味わえる、しっとりした読後感が嬉しい一冊になっています。


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