水域

(椎名誠/講談社文庫)

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Story

すべてのものが水没した世界。水域を「ハウス」に乗って漂流する男−ハル−の物語。
彼は双胴のカヌーに乗った老人に出会い、水域の中に屹立するシェラトン・ベイホテルの残骸に足を踏み入れ、そしてやがて陸地に出会う。
安寧と漂流、出会いと別れを繰り返しながら、ひたすら前進を続ける男を描いた、骨太な海洋SF。

Impression

テレビやCMで見る、ワイルドでナイーブな椎名さんのイメージがそのまま現れているような作品ですね。
それなりにヤマ、タニのある作品なんですが、他のSFのようにどかーんと上げ下げするような、激しい展開は皆無。しかし、ハルの心情がしっかり描かれていて、それぞれのシーンでの喜びや切なさ、あるいは絶望が心の中に入り込んでくるので、単調な感じはありません。
冒険心を満たしてくれる、力強さのある一品です。


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