ふしぎ遊戯 玄武開伝

(渡瀬悠宇/小学館少コミフラワーコミックス・全12巻〜)

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story

大正12年。
母を肺病で亡くした奥田多喜子は、父が母や自分も省みず編纂した「四神天地書」を破ろうとして、本の中へ入ってしまう。
そこは氷雪に覆われた異世界。その場所で多喜子は石柱に磔にされた少女・リムドと出会う。そして驚く間もなく、妖魔の襲撃が・・・
大ヒット作「ふしぎ遊戯」の世界をベースにした鍵集め系のファンタジー。

impression

作者の出世作「ふしぎ遊戯」(以下「ふしぎ」と表記)をベースにした「鍵集め」系の異世界アドベンチャーです。
タイトルに「ふしぎ」の名がありますが、キャラクターや舞台設定はまったく一新されており、「ふしぎ」の既読者にアピールする材料を交えながらも、新規読者にもストレスなく読める作品になっています。
これは「ふしぎ」の設定から来る制約でもあるのですが、中国東北部、あるいはモンゴル風の舞台設定と、大正時代という時代設定の組み合わせは斬新で、これが「玄武」の印象を強める独特のカラーになっています。
もちろん「ふしぎ」の売り物でもあり、以降も作者が持ち味として来た、個性的なキャラクター、人間関係の織りなすドラマ、スピード感あるアクションと言った要素は健在で、読者の期待に十分応えてくれています。

2003.11