びぜんやオールタイム
お気に入りコミックベスト50

20位〜11位

20 放課後チルドレン
おおばやしみゆき/小学館ちゃおフラワーコミックス
作品 うそつき小学生・チルこと高橋みちるは、校舎裏で「王様の耳はロバの耳」ばりに本性を現しているところを、新担任の青島先生にみつかってしまう。
何かとチルにちょっかいを出してくる破天荒教師・青島に、クールなチルもいつか惹かれはじめて・・・
感想 小学生と教師の恋愛と言うことで、ぐぐっと退かれる人も多いかと思いますが、私はぐぐっと惹かれました。個人的に、恋愛観にジャストフィットするような作品で、異常に気に入っています。いや、年下好きという部分じゃなくてね。チルのいちずで、抑えられない想いの表現が。
なんといっても、クールでうそつきなチルが、青島先生に惹かれていくに従って、自分をコントロールできなくなるような、そんなとまどいの描写が○。なんかシンクロしやすいんですよね、このへん。
また、キャラクターを突き放したクールなギャグもお気に入りポイントで、地味だけど宝物のような作品です。
19 1+1
藤崎真緒/白泉社花とゆめコミックス
作品 甘えん坊でどこか抜けてるめいと、しっかり者のたけるは、姉弟というよりは兄妹のようなコンビだが、周囲が呆れるほどのなかよしさん。
ふたりはそれぞれに、学園祭のパートナーを決める「パートナーシップシステム」で人気を集め、騒動の渦中に。そんな中、めいは自分がブラコンだということにようやく気づいて・・・
感想 兄妹もの、あるいは姉弟ものというのはすんごい大好物なジャンルなのです。このベスト50にはあまり入ってないですけど。
完璧超人な男のコと、やっぱり完璧超人に見えるけど実は甘えたな女のコという、藤崎作品ではおなじみなフォーマットな作品ではありますが、この作品の場合共依存している一方でお互い自立性の強いところもある、そんなふたりの距離感が絶妙で惹かれるものがあります。
天真爛漫で甘えたなどっからどうみても妹っぽいおねーちゃん・めいちゃんのキャラクターもまた絶妙。
リアリティなんかどこにもないですけれど、砂糖菓子のように甘い少女マンガらしいラブロマンスがこれはこれで気持ちいいのです。
18 危険がウォーキング
星里もちる/徳間書店少年キャプテンコミックス
作品 北海道から東京に転校してきた岡原佳枝は気温が30度以上になると汗が爆発するという特異体質。なんと汗がニトログリセリンで出来ているのだ。
彼女の行くところ、爆風が巻き起こり、建物が破壊されていく。だけど佳枝と恋人の牧野くんは脳天気に構えて騒動を巻き起こしていくのだった。
感想 汗がニトログリセリン!というとんでもないというかばかばかしいというか、アホすぎる設定の作品。
しかし、奇妙な設定、独特のノリ、ちょっとズレたキャラクターを出しながら、ギャグに走らず、王道のハートウォーミングストーリーを描くという星里さんらしいよさが出ている作品で、なぜかするすると読めちゃうんですよね。変な作品、のひとことで片づけられる危険性も大ですが(笑)。
今思うと、佳枝ちゃんって、私が初めて萌えたキャラかも知れないですね〜。しかし、黒髪でもショートカットでもさらには年下でもないぞ。うーん、驚きだ。
17 動物のお医者さん
佐々木倫子/白泉社花とゆめコミックス
作品 獣医学生・公輝、その親友・二階堂、シベリアンハスキーのチョビを中心に、獣医学部の日常を描いたコメディー。
一挙手一投足が嵐を巻き起こす漆原教授、関西系唯我独尊雌猫・ミケら個性的な脇役陣に、公輝らはどう立ち向かうのか?
感想 一度読み始めると止まらない、中毒性の高い作品ですね。雑誌連載時から話題になっているのは知ってたんですが、「動物が出てくるほのぼの系マンガ?用はないね」ってなかんじでクールにかわしていました。
しかしヨメさんに借りて一読するや・・・おおお、面白い、手放せない。この作品を読まずに過ごした20代前半を後悔したくなるほど気に入ってしまいました。d実家住まいだったころはほとんどの時期、ペット(最近はコンパニオン・アニマルとかいうのだな)を飼っていた動物好き家系の人間でもあり、登場動物たちの適度な擬人化もむしろしっくりきましたね。
16 ジャジャ
えのあきら/小学館サンデーGXコミックス
作品 バイク便ライダーの主人公・宮城進武と、旧車主体のイタリアンバイクショップ『GOBLIN』の店長・滝沢レナ、レナの親友・安達カナコの3人をメインとしたバイクラブコメ。
バイクのことになると目の色を変えるくせに恋には鈍感なミヤギとレナの煮え切らない関係を、旧車に関する蘊蓄を絡めつつ、雰囲気豊かに描く。
感想 バイクとの接点なんて学生の時に原チャリに乗っていたぐらい。バイクにはとんと興味がなく、作者買いで購入した作品だったんですが。
……いやあ、面白いです。
ヒロイン・レナさんをはじめとして登場するキャラは多少のベクトルの違いこそあれ、揃いも揃って愛すべきバイクバカばかり。そんな彼ら彼女らが送る日常は、イタリアンバイクに関わる蘊蓄にとどまらず、レースだったりジムカーナであったりあるいは周囲のバイクに対する無理解だったり、とにかく「バイクのある生活」にまつわるあれこれに満ち満ちていて、「バイクのある生活って面白そう」と思わせてくれるんですよね〜。
そんな日常ドラマが楽しめる一方、バイクを軸に日本の戦後史をたどるようなドラマも織り交ぜられて、「見てきたような嘘」を読む醍醐味にも満ち溢れています。
アタマからシッポまで、オトコノコをわくわくさせる要素に満ち満ちたオススメの作品です。
15 スロウスタート
篤見唯子/芳文社まんがタイムKRコミックス
作品 一之瀬花名はアクシデントがもとで高校受験が出来ず、中卒から1年経ってようやく高校へ。
出遅れた花名は、リスタートを切るべく両親の住む東京を離れ、従姉の志温が管理人を務めるアパートに引っ越し、見知らぬ町で暮らし始める。
しかし、人見知りの花名にとって、知らないひとばかりの高校生活はハードルが高くて……。
感想 いい作品だなぁ。
篤見さんの作品ということで連載開始前から個人的期待が高かった作品なんですが、読んでみたらその満足は期待のはるか上。
高校浪人の引っ込み思案な少女がヒロインというなんともストーリーを回しにくそうな導入ですが、ストーリーはきびきびと展開しますし、それでいてムードは優しくゆるくてまったり。その中に快活で切れのいいギャグが挿し込まれて、楽しく読み進められるJK日常四コマに収まっています。
えーこを中心に百合要素が豊富に捩じ込まれてくるのもポイント。読んでいてつくづく「レベル高いなー」と思わされる好作品です。
14 JA 〜女子によるアグリカルチャー〜
鳴見なる+唐花見コウ/角川書店角川コミックス・エース
作品 野沢ひなげしは、父の再婚に伴って、東京を離れ信州・小川村にやって来た。
野沢家の決まりごとは、新しく姉妹になった社、繭、りんごと4人で、野菜作りをすること。
アルプスを見上げる山間の村で、ひなげしの新鮮な毎日が始まる。
感想 実在する信州の山村・小川村を舞台にし(村の公認まで受けちゃってる)、信州在住のマンガ家・唐花見コウ(からけみ)さんが監修しているということで、信州人にはいちいち納得のディテールがツボに来る農業四コマです。
都会から来た小学生のひなげしが農業に挑戦する、ということで稲作畑作酪農園芸、キノコ作りだったり産直だったり農業に関わるエトセトラをぎゅっと詰め込みつつ、あくまで明るく分かりやすくアットホームに説明してくれるところがこの作品の美点。その隙間に農業や過疎地の抱える問題をさりげなく挿し込んできたりしていて、かわいい見た目に反して読み応えもあるんですよね〜。
信州在住でかつ農家の倅な私も納得の存在感。読むと小川村に行きたくなる、魅力的な山村ホームコメディです。
13 Honey
橘裕/白泉社花とゆめコミックス
作品 桜章高校の養護教員・長谷川千鶴はその愛らしさと優しさで、男子生徒の人気者。
そんな彼女の目標は生徒の心の悩みもケアできる養護教員になること。千鶴はある日、授業を抜け出す生徒の姿を見つけ、その後を追うが、その相手・久我直樹は手強い相手だった。
感想 橘さんはストーリーテリングも巧いし、女の子はみーんなかぁいいし、推したい作品はいろいろあるんですが、ここはやはり大人なのにろりろりな雰囲気がいいちーちゃんこと千鶴先生がツボなこの作品をピックアップします。白衣モノが苦手な私には珍しく、白衣なヒロインですね。
まじめな話をすれば、少ないキャラクターできっちりとストーリーを盛り上げてくるあたりがいいですよね。それでいてオチもよし。ちーちゃんに癒されつつも、学園ドラマやちーちゃんの過去にまつわるエピソードでしっかり読ませてくれる、甘くて密度の高い一品です。
12 かみさまのいうとおり!
湖西晶/芳文社まんがタイムきららコミックス
作品 教会で住み込みシスターをしながら高校に通う15歳、安倍まりあ。
そんな彼女の日常は神に仕えるものらしくいつも清純で聖らか・・・かといえばそんなこともなく。
いつもハレンチな妄想に頭を支配され、ことあるごとに鼻血をたれ流しているのだった。
感想 このマンガをこんな高い順位にしちゃっていいのだろうかと若干ためらいつつも12位。や、仕方ないですね、この作品のノリが大好きですから。
聖職者を目指す少女たちの物語、だったはずが出てくるのはエロいダジャレとまりあの鼻血ばかりというなんとも下らないマンガなんですが、国語辞典のエロい単語を探し出しては絨毯爆撃的にマークしていく男子小学生の如く、どんなワードからでもエロ妄想に結びつけ鼻血を迸らせるまりあのアクロバティックな妄想力がいっそ心地よく、ある意味圧倒されながらくすくす笑ってしまいます。
11 MASTERキートン
浦沢直樹・勝鹿北星/小学館ビッグコミックス
作品 イギリス人と日本人のハーフで、保険調査員と考古学者のふたつの顔を持つ男、平賀・キートン・太一。
古代のロマンと、現代のミステリー、ふたつの謎をリンクさせ、ヨーロッパ中を駆けめぐる、傑作ミステリーコミック。
感想 さあて。
どうだまいったか、意外だろう。
って勝ち誇っても仕方ないんですが・・・。
今まで内緒にしてたんですが、実はかなり好きな作品です。明快で軽快な謎解きがいいですし、舞台をヨーロッパ中心にしたところも新鮮でグッド。そこにキートンという、親しみやすい主人公が据えられて、かなりハマりました。
1巻から最終巻まで、トーンが一貫してるところもいいですよね。気軽に読めて、気軽にハマれる好作品です。