びぜんやオールタイム
お気に入りコミックベスト50

10位〜1位

10 ほのかLV.アップ!
MATSUDA98・太田顕喜/メディアワークス電撃コミックス
作品 お嬢様学校・聖慎女学院に通う志賀穂乃歌は、絵を描くことが好きだけど、それを形に出来ず、将来の夢を真っ白なままにしていた。
そんなほのかに対し、叔父であるゲームデザイナーの神立隆一は、半ば強引にほのかを、自らが設立した会社「ゼロフレーム」にバイトに来るように勧める。
LV.0から始まる、ほのかの成長物語。
感想 商業での作品はレアで、どちらかというと同人の方で追っかけているMATSUDA98さんの代表作、ということになります。
MATSUDA98作品の魅力はスタイリッシュで、女のコがかわいくて、作者の思い入れ、楽しいという気持ちが画面からあふれてきて、そして何より明るくわくわくとした気分にさせてくれること。その魅力は当作品でも存分に発揮されています。
周囲の大人たちにもまれながら、ひとつひとつていねいにステップを上っていくほのかちゃんの姿は応援したくなりますし、共感度大。
ゲーム業界ものとしてのディテールの確かさはどうか分かりませんが、前を向き進み続ける子供たち、そして大人たちにエールをくれる好作品で、いつまでも大切に読み続けたいと思える灯し火のような作品です。
CIRCLEさーくる
榊/芳文社まんがタイムKRコミックス
作品 小金井かなたは漫画研究会に所属する大学2年生。
漫研とはいえ、オタクな行動に走ることは少なく、部室で鍋を囲んだり、河原でバーベキューやったりと、ゆるゆると学生生活を楽しんでいるサークルの中で、かなたも同じ2年生の綾、境らとサークル活動を楽しんでいる。どこかリアルでどこか非現実的な、独特の鮮やかさでキャンパスライフを活写した、学園四コマ。
感想 私にとって「リアルなマンガ」はと問われたら、ノータイムで筆頭に上がるのがこの作品です。
漫画研究会の日常、というテーマですが実は登場人物がマンガ書いてたりすることはあまりなくて、そこに描かれているのは大学サークルのぐだぐだとした、オトナから見れば時間の浪費のような、だけどかけがえなくきらきらとした時間。もちろんそのいちいちが私が学生時代経験したものとイコールというわけではないんですが、大学時代に在籍したサークルやバイト先と同じ匂いを濃厚に感じられて「自分も確かにこんな空気の中にいた」と実感できるのです。
50代になろうという今でも、ページをめくれば10代、20代の時のきらきらしたものが甦ってくる希有な作品。これからも何度となく読み返すことになるのでしょう。
軽井沢シンドローム
たがみよしひさ/小学館ビッグコミックススピリッツ
作品 フリーカメラマン・相沢耕平とその相棒のイラストレーター・松沼純生を中心に、軽井沢に集まる若者たちの愛憎劇を描く。
感想 前回「お気に入りコミックベスト30」を発表した時から20年が経っていますから、当然といえば当然ながら前回ランクインした作品の多くは今回新たにランクインした作品に押される形でランクを下げているわけなんですが、この作品だけは前回25位から大きくランクアップしました。
さまざまな登場人物の恋愛感が錯綜するドラマで、かなり影響を受けた作品であり、私が初めて読んだ「オトナのマンガ」でもあります。
今読み返して見ると、かなり話があっちこっちに飛んでいて、つかみどころのない作品なんですが(たがみさんらしいと言えばたがみさんらしいと言えますね)、その辺がうまく作品に広がりを与えている、面白い作品です。
スタイリッシュな雰囲気の中に多様な恋愛観が散りばめられていて、自分の恋愛観に多大な影響を受けた作品です。
星の瞳のシルエット
柊あおい/集英社りぼんマスコットコミックス
作品 小学生の頃出会った名も知らぬ男の子との絆、「シリウスの星のかけら」という名の水晶の欠片。
その想い出を大事に育ててきた女子中学生・沢渡香澄は、親友・真理子の想い人、久住くんに、星のかけらの男の子の面影を見つける・・・
感想 私を少女マンガの道に進ませるきっかけになった記念すべき一冊。魔導の書とも言いますが(汗)。
高校生の時に読み始めて、先が気になって仕方がないからコミックスが出るたびに買って、全巻揃うころには少女マンガの世界から抜け出せないあわれな大人になっていた、という感じでしょうか。
とにかく特筆したいのはその展開力。親友の好きな人に恋してしまったという、シンプルで重いシチュエーションでありながら、ていねいな心理描写と、適度なアップダウンで読者の興味をそらさない構成に引き込まれてしまいました。
ご注文はうさぎですか?
Koi/芳文社まんがタイムKRコミックス
作品 元気少女のココアがやって来たのは、木組みと石畳で出来た、ヨーロピアンな街。彼女はそこにある喫茶店「ラビットハウス」に下宿し、アルバイトをしながら学校に通う。
クールな妹分・チノ、ひとつ年上のリゼ、それに不思議なアンゴラウサギのティッピーが繰り広げる喫茶店の日常は、ゆるゆるで、だけどちょっとドキドキな毎日。
感想 さあみんな、行くぞっ。
せーのっ。
心がぴょんぴょんするんじゃあ〜〜〜〜〜。
というわけで、とびきりかわいいキャラクターたちに頬が限界まで緩んでしまう、萌え四コマの極北といえる作品です。
ただかわいいだけの作品なら他にもいくらでもありますが、この作品の美点となるのが木組みの町を舞台に、精緻に作られた世界観。おかげで完全無欠に作品の世界に没頭し、空想の世界にひたすら遊ぶことが出来るんですよね〜。
ひたすら明朗なムードと、個性的なキャラクター、そして密度の高い画面ももちろん大きな魅力。どこからどう読んでも満足度の高い萌え四コマです。
カードキャプターさくら
CLAMP/講談社コミックス
作品 小学五年生の木之本桜は、ご近所で悪さをする不思議なカード「クロウカード」を集める『カードキャプター』。
カードの番人・ケルベロスや、カードの創造主・クロウの末裔・小狼の助けを得、親友・知世特製のコスチュームに身を包み、さくらはカード集めに奔走する。
感想 さあみんな、行くぞっ。
せーのっ。
はにゃ〜〜〜〜〜ん。
いいですねぇ、さくらちゃん。ショートカット元気少女、さらに妹。さらに毎回様々なコスチュームで登場してくれて、ページをめくる度にめろめろの奥地に私の魂を連れ去ってくれました。いつの間にか心の中に入り込んで、ずしっと私の中に居場所を占めた、さくらちゃんの強烈な個性がこの作品をこの順位に押し上げたエンジンです。
さらに巧みなコマ使いによる軽快なリズム、個性豊かなサブキャラクター、ワンパターンながら息も尽かせぬ展開もまた魅力。完成度の高いフルパワーコミックです。
すくらっぷブック
小山田いく/秋田書店少年チャンピオンコミックス
作品 信州のありふれた公立中学を舞台にした、ハートウォーミング・コメディー。
穏やかな晴ボンを中心に、理知的なイチノ、いたずら好きな雅一郎ら、にぎやかなメンバーがそれぞれの悩みにぶつかっていく。
感想 ハートウォーミング系コミックの最高峰と、私が信じている旧作です。
晴ボン&マッキーの主人公カップルは主人公と思えないほど地味なんですが、その他のクラスメイトたちの個性がはっきりしていて、しかし「キャラ立ってる」というほどあざとくなく、その全体的なバランスがほんわかとした暖かな雰囲気を作っています。
いじめとか、あまりシリアスな描写はなくて、やや甘い感じはありますが、マンガだからこそ夢を見たいのであって、私はこの雰囲気を全面支持。
今も様々なエピソードが思い出せるほど、思春期に読み込んだ、いわばバイブルと言ってもいい作品。この作品の影響で信州に住むようになりました、と言ってもあながち嘘でもないです。
ひだまりスケッチ
蒼樹うめ/芳文社まんがタイムKRコミックス
作品 憧れのやまぶき高校美術科に入学したゆのは、学園前のアパート・ひだまり荘でひとり暮らしをはじめる。そこに住んでいたのは天真爛漫な1年生の宮子、家庭的な2年生のヒロ、作家兼業の2年生・沙英、3人の美術科生徒だった。
女のコ4人が暮すアパートを舞台にした、ほのぼの四コマ。
感想 日常系萌え四コマの決定版、といえる作品ですね。あまりアニメには興味ない私ですが、この作品に限ってはアニメも楽しみにしていましたし、なんなら円盤まで手を出しちゃいました。
ひたすらアットホームなひだまり荘サイド、女子高生の日常をかわいく楽しく切り取ったやまぶき高校サイド、どちらも優しい世界観に覆われていて読んでいて心地よさを感じます。しかも単にかわいくてゆるいってだけじゃく、日常をちょっとだけ斜めから切り取って見せるようなネタの冴えが出色もの。キャラクターの個性を手間暇かけてじっくり積み上げて行ったり、あるいは意外なシチュエーションから掘り下げて行ったり、とにかく作品作りが丁寧でしっかりしているなぁ、と感じられます。
目移りするほどに魅力的なキャラクターと、ひとりひとりのキャラクターに真摯に向き合いつつ、前向きさをけして見失わないところにも好感。しっかりした土台の上に「ほのぼの」がのっかっているので他作品と一線を画した充実感が感じられます。
ももいろシスターズ
ももせたまみ/白泉社ジェッツコミックス
作品 えっち大好きOLのさくらと、知識はあるけどキスも未経験の桃子の姉妹を軸に、ちょっとえっちでかなりらぶらぶ、そしてなんかリアルな恋愛を描いた四コマ。
感想 かわいい女の子大量登場!で私の萌え心をくすぐり、恋愛要素を巧く生かした絶妙なネタで私の心を揺さぶった好作品。前回の「ベスト30」ではこの作品が栄えある第1位でした。
実はこのHP、当初はこの作品のファンページになる予定だったという、隠された事実もあったりして。そのくらい思い入れのある作品です。
ひとりひとりのキャラで言えば、さくらちゃんや香澄ちゃんより弱いかもしれないけど、かわいいキャラが全コマ目白押しってーのは強いですねえ。さらにどの女の子も個性がはっきりしているので、あぁ〜目移り。この、女のコに目移りしちゃうっていうのが萌え四コマだとかラブコメには大事だと思うのですよ。
厭味なく、あっけらかんと笑える感じでHなネタの数々もツボ。
50歳になった今、年甲斐もなく「きらら」系を中心とした萌え四コマばかり読んでいる私ですが、その原点となったのは間違いなく、20代の頃に読んだこの愛すべき作品です。
球詠
マウンテンプクイチ/芳文社まんがタイムKRコミックス
作品 中学時代野球部に所属していた武田詠深は、不完全燃焼のまま中学野球を終え、「制服がかわいいから」と、野球部が休部中の新越谷高校に進学する。
そこで出会ったのは息吹と芳乃、野球好きの双子姉妹と、幼なじみの捕手・山崎珠姫。詠深が封印していた“魔球”を投じた瞬間から、新越谷高校の新たな歴史が動き出した。
感想 このランキングの1〜4位はそれぞれに思い入れがあり、甲乙つけがたかったんですが。半年以上悩んだんですが。
単純に今の時点でいちばん面白いと思っているマンガ、ということでこの作品を選びました。
キュートでアットホームでゆりゆりしてて、という部分に「熱さ」が乗っかっているのがこの作品の大きなアピールポイント。
「ドキドキ☆ビジュアル」のフォーマットで野球をやる、となるとこれは子供だましになるかイロモノになるかというところなんですが、野球のディテール、あるいはかけひきが濃厚に描かれていて惹き込まれますし、出てくる野球女子たちはライヴァルたちも含めていずれ劣らず魅力的で、タフ。よく練り込まれた試合展開はスリリングで鳥肌の連続なんですが、そこにしっかり百合要素をねじ込んでくるんですからたまりません。
「百合はいいぞ」という堪能感と「野球を読んだ」という満足感がハイレベルで両立したこの作品が、私のオールタイムベストです。